健康食品は、あくまで食品であるので、医薬品のような効果はないというのが一般の認識かもしれませんが、医薬品のような効果があって、そのために医薬品としてのバッティングが起こる可能性もあります。
健康食品の素材として使われているものの中には、日本では健康食品の素材であっても、海外では医薬品の成分となっているものもあります。その代表的なものはイチョウ葉エキスです。これはイチョウの青葉(緑の葉)のエキスで、いわゆる血液サラサラ成分ですが、血小板凝集抑制作用があることから、ドイツでは医薬品となっています、そのドイツ製のイチョウ葉エキスは日本でも販売されていますが、同じ成分が同じだけ使われていても日本の場合は健康食品です。
血管の傷を内側から修復する血小板が多く集まりすぎると、これを中心として血栓ができて、これが血管を詰まらせると一過性脳虚血発作、脳梗塞となります。血管が詰まったことによる影響が24時間以内の場合には一過性脳虚血発作、24時間を超えた場合には脳梗塞と診断されます。
血小板が大きくなる前の、傷を塞ぐ役割が終わった段階で剥がれ落ちるようにするのは血栓予防に役立つということで、イチョウ葉エキスが使われています。イチョウ葉エキスには活性酸素を消去する抗酸化作用もあります。活性酸素によってLDLコレステロールが酸化すると動脈硬化が進むようになることから、イチョウ葉エキスは動脈硬化の予防にも使われるようになっています。
動脈硬化の予防に使われる医薬品としては、アスピリンがあげられます。古くから使われてきた解熱鎮痛消炎剤ですが、抗血小板作用もあります。アスピリンを使うと、血小板が剥がれやすくなるわけですが、これとイチョウ葉エキスとを同時に使うと血小板が、より剥がれやすくなり、出血するようになります。
そのために皮膚の中に出血が見られることもありますが、これはアスピリンとイチョウ葉エキスによる相互作用が原因です。このような状態になって、アスピリンを使わないわけにはいかないという場合には、イチョウ葉エキスを一時的にやめて、別の血液サラサラ成分を摂ることを考えます。それに該当するのは、ビタミンE、魚油や植物油に含まれるDHAやEPAです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕