健康食品の多くは、目的に合わせて複数の素材が組み合わされています。例えば、血糖値の上昇を緩やかにしようと考えると、胃で糖質がブドウ糖に分解されるのを抑え、ブドウ糖が小腸から吸収されるのを抑え、血液中に入ったブドウ糖が細胞に取り込まれるのを進め、そのために必要なインスリンが膵臓から多く分泌されるようにする、といったように複数の働きによって血糖値の上昇を抑えることができます。
これは医薬品でも同じ発想です。吸収阻害の医薬品成分はないものの、それ以外は医薬品で有効性が確認されているメカニズムと同様の働きをする素材が健康食品には使われています。ちなみに吸収阻害の素材はギムネマ・シルベスタや難消化性デキストリンなどです。
複数の素材を使うのは素材の有効性がプラスされていくという発想に基づいてのことですが、プラスにならないこともあります。一つは、摂取タイミングが異なる素材が組み合わされている場合です。健康食品の素材には、水溶性と脂溶性があります。水溶性は胃の中の水分で溶けるので、いつ摂っても吸収されます。それに対して脂溶性は胃の中に油脂があるとき、つまり食後に摂らないと分解されずに吸収されなくなります。
そのような素材の性質をみたら、複数の素材の組み合わせなら食後に摂ればよいことがわかります。少なくとも脂溶性成分が含まれていたら、空腹時に摂ってはいけないわけです。
もう一つは、マイナスになる組み合わせへの注意です。難消化性デキストリンは糖質、脂質、塩分の吸着作用があり、吸着されたものは吸収されないので、血糖値、中性脂肪値、血圧の上昇を抑えるものとされています。それは正しいことではあっても、他の成分も吸着するので、せっかくの成分の一部が難消化性デキストリンに吸着されて吸収されなくなります。
それなのに摂取した成分が、どれも吸収されるという発想で素材を組み合わせている健康食品も数多くあります。こういった素材の特徴も考えて、商品開発に取り組むべきだということです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕