健康食品 敵か味方か31 健康食品と医薬品の相互作用

健康食品と医薬品は、以前は飲み合わせのようなことは起こらないとされてきましたが、健康食品の製造技術の進展によって医薬品的な有効性が現れるようになり、まるで医薬品同士の副作用のようなことが起こるようになりました。

健康食品と医薬品については、副作用ではなく、相互作用という用語が使われています。相互作用が起こるのは、健康食品に使われる素材も、体内に生化学反応に影響する仕組みがあるからで、そのメカニズムが医薬品と重なると相互作用が起こってしまうということです。

その例としては、前回はイチョウ葉エキスとアスピリンの組み合わせについて紹介しましたが、その他にも注目されているのはコエンザイムQ10とスタチン剤の相互作用です。

スタチン剤は血液中のコレステロールを減らすために、体内のコレステロールの合成を抑える作用があります。そのメカニズムが、体内でコエンザイムQ10が合成されるのと途中まで一緒で、コレステロールの合成を抑えることによって、コエンザイムQ10の合成量が減ります。

コエンザイムQ10は抗酸化成分であると同時に、全身の細胞でエネルギーを作り出すときの最終段階で必要であることから、スタチン剤を使うと全身の細胞で発生するエネルギーが減ることになります。コエンザイムQ10は心臓の機能を正常に保つためにも必要な成分です。

血液中のコレステロールを減らして、動脈硬化を防ぎ、心臓疾患の予防にもつなげようとしているのに、一方で心臓病のリスクを高めることにもなるということです。
健康食品ではなく、通常の食品や飲料なら問題はないと考えられがちですが、高血圧や狭心症に使われるβ–遮断薬はグレープジュースやオレンジジュースによって、医薬品の効果が低下することが指摘されています。

クランベリージュースは感染症の予防効果が期待されていますが、高血圧で使用される抗凝固剤のワルファリンはクランベリージュースによって効果が強まることが確認されています。これはワルファリンの代謝酵素が阻害されて、ワルファリンの作用が強化されるためと考えられています。

ハーブで人気のリラックス効果があるカモミールは、エストロゲン作用があり、経口避妊薬の効果を弱めることが報告されています。その一方で、薬物代謝酵素の働きを抑制することによって、薬物の作用が強化されることも確認されています。

医薬品が働くときには、体内の酵素の作用に働きかけていますが、その働きが強まるものと逆に弱まるものがあり、このことが医薬品の効き目に影響を与えているということです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕