障害者差別解消法に基づいて、注意欠陥・多動性障害のある子どもには、以下のような合理的配慮が考えられます。
①学習上または生活上の困難を改善・克服するための配慮
行動を最後までやり遂げることが困難な場合には、途中で忘れないように工夫したり、別の方法で補ったりするための指導を行う。(自分自身の客観視、物品の管理方法の工夫、メモの使用等)
②学習内容の変更・調整
注意の集中を持続することが苦手であることを考慮した学習内容の変更・調整を行う。(学習内容を分割して適切な量にする等)
③情報・コミュニケーションおよび教材の配慮
聞き逃しや見逃し、書類の紛失等が多い場合には、伝達する情報を整理して提供する。(掲示物の整理整頓・精選、目を合わせてからの指示、メモ等の視覚情報の活用、静かで集中できる環境づくり等)
④学習機会や体験の確保
好きなものと関連づけて、興味・関心がもてるように学習活動の導入の工夫を行う。また、危険防止策を講じた上で、本人が直接参加できる体験学習を通した指導を行う。
⑤心理面・健康面の配慮
活動に持続的に取り組むことが難しく、不注意による紛失等の失敗や衝動的な行動が多いため、成功体験を増やし、友達から認められる機会を増やす。(十分な活動のための時間の確保、物品管理のための棚等の準備、良い面を認め合えるような受容的な学級の雰囲気づくり、感情のコントロール方法の指導、困ったときに相談できる人や場所の確保等)
⑥専門性のある指導体制の整備
特別支援学校や発達障害者支援センター、教育相談担当部署等の外部専門家からの助言等を生かし、指導の充実を図る。また、通級による指導のような校内資源の有効活用を図る。
⑦子ども、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮
周囲の子ども、教職員、保護者に対して、注意欠陥・多動性障害の特性として、不適切と受け止められやすい行動には、本人なりの理由があることや、生まれつきの特性によるものが原因であるということ等を理解啓発する。
⑧災害時等の支援体制の整備
落ち着きを失ったり、指示の途中で動いたりするといった本人の傾向を踏まえた避難訓練に取り組む。(項目を絞った短時間での避難指示、行動を過度に規制しない範囲で見守りやパニックの予防等)
⑨発達、障害の状態および特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮
注意集中が難しいことや衝動的に行動してしまうこと、落ち着きを取り戻す場所が必要なこと等を考慮した施設・設備を整備する。(余分なものを覆うカーテンの設置、照明器具等の防護対策、危険な場所等の危険防止柵の設置、静かな小部屋の設置等)
⑩災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮
災害等発生時、避難場所で落ち着きを取り戻す場所が必要なことを考慮して、静かな小空間等を確保する。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕