障害者差別解消法に基づいて、学習障害のある子どもには、以下のような合理的配慮が考えられます。
①学習上または生活上の困難を改善・克服するための配慮
読み書きや計算等に関して、苦手なことをできるようにする。また、別の方法で代替したり、他の能力で補完する等の指導を行ったりする。(例:文字の形の見分け、パソコン、デジカメ等の使用、口頭試問による評価等)
②学習内容の変更・調整
「読む」「書く」等特定の学習内容の習得が難しいため、基礎的な内容の習得を確実にすることを重視した学習内容の変更・調整を行う。(例:習熟のための時間を別に設定、軽重をつけた学習内容の配分等)
③情報・コミュニケーションおよび教材の配慮
読み書きに時間がかかる場合、本人の能力に合わせた情報を提供する。(例:文章を読みやすくするための体裁の変更、拡大文字を用いた資料の提示、振り仮名をつける、音声やコンピュータの読み上げ、聴覚情報を併用して伝える等)
④学習機会や体験の確保
身体感覚の発達を促すために活動を通した指導を行う。(例:体を大きく使った活動、さまざまな感覚を同時に使った活動等)また、活動内容をわかりやすく説明して安心して参加できるようにする。
⑤心理面・健康面の配慮
苦手な学習活動があることで自尊感情が低下している場合は、成功体験を増やしたり、友達から認められたりする場面を設ける。(例:文章を理解すること等に時間がかかることを踏まえた時間延長、必要な学習活動に重点的な時間配分、受容的な学級の雰囲気づくり、困ったときに相談できる人や場所の確保等)
⑥専門性のある指導体制の整備
特別支援学校や発達障害者支援センター、教育相談担当部署等の外部専門家からの助言等を生かし、指導の充実を図る。また、通級による指導といった学校内の資源の有効活用を図る。
⑦子ども、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮
周囲の児童生徒、教職員、保護者に対して、学習障害の特性として、努力によっても変わらない苦手なことや生まれつき得意なこと等、さまざまな個性があることや特定の感覚が敏感な場合もあること等理解啓発に努める。
⑧災害時等の支援体制の整備
指示内容を素早く理解して記憶することや、掲示物を読んで避難経路を理解することが難しい場合等を踏まえた避難訓練に取り組む。(例:具体的でわかりやすい説明、不安感を持たずに行動ができるような避難訓練の継続等)
⑨発達、障害の状態および特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮
類似した情報が混雑していると、必要な情報を選択することが困難になるため、不要な情報を隠したり、必要な情報だけが届くようにしたりできるように校内の環境を整備する。(例:余分な物を覆うカーテンの設置、視覚的にわかりやすい表示等)
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕