かつての高齢者のイメージは、退職をして家庭で過ごす時間が長い“ご隠居さん”でしたが、今は退職年齢も65歳は当たり前になり、2025年には本人が希望すれば65歳までの雇用確保が義務づけられます。
2021年に改正された高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会の確保が努力義務とされました。
こういった流れを受けた形で、高齢者の定義の見直しも検討されるようになりました。
2017年に日本老年学会と日本老年医学会が、これまでの前期高齢者(65〜74歳)、後期高齢者(75歳以上)とされてきた高齢者の区分を准高齢者(65〜74歳)、高齢者(75〜89歳)、超高齢者(90歳以上)とすることを提言しました。
提言の根拠として、10年前に比べて心身の状態が10〜20年も若返っているとの研究成果を掲げ、准高齢者は高齢社会において支えられる側から支える側になることが示されました。
10年も若返っているとすると、准高齢者は高齢者ではなく、55〜64歳に相当する体力と認知力であることから、確かに社会を支える側となります。
平均寿命は延び続け、岡山県民は2022年には男性が81.90歳(全国10位)、女性が88.29歳(全国1位)となりました。新たな提言による高齢者となる75歳でも男性は約7年、女性は13年以上もの期間があることになります。
この期間を健康で、元気で過ごしてもらえるように、65〜74歳の准高齢者が支えるためには、新たな考えに基づいた支援の仕組みが必要になります。その仕組みなしに、高齢者の定義を変えたからと、支援をする側になることを望まれても、実際には難しいところがあります。
女性が長寿日本1になった岡山県の中心地である岡山市の健康長寿への取り組みは、県内のみならず、全国の健康長寿の見本となることが可能です。健康長寿のトップリーダーとしての活躍できる仕組みづくりを、65歳定年が社会に定着するきっかけとなる2025年を目標に進めていくべきだと考えています。
また、2025年は団塊の世代が全員75歳以上の高齢者(現在の定義では後期高齢者)となる区切りの年でもあるだけに、わずかな期間に徹底して検討しなければいけないと強く認識しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕