健康食品は目的とする健康効果が明らかにされていて、その効果を得るために、複数の素材が使われるのが一般的です。
健康面の改善のためには、複数のアプローチが必要になるもので、例えば血糖値の改善であれば、糖質がブドウ糖に分解されるのを阻害、ブドウ糖が小腸から吸収されるのを阻害、細胞がブドウ糖を吸収するのを促進、膵臓からのインスリンの分泌の促進といったように、それぞれの機能がある成分が使われます。
同じアプローチなのに、複数の成分を組み合わせることもあり、例えば抗酸化作用がある成分を48種類も組み合わせた健康食品もあります。抗酸化作用といっても、それぞれの成分が得意とする臓器や器官があるので、全身に作用するように、できるだけ多くの種類を使うという発想です。
健康食品に使われる成分は、一般の印象としては“足し算の効果”が期待されています。成分が増えるたびに効果が積み重なっていくという考えです。これは間違いではないものの、それぞれの効果が発揮されるためには、それなりの分量が必要になってきます。あまりに少ない分量では、いくら効果がある成分であっても結果は期待できないからです。
どれだけの分量が必要かということを考えるときに使われるのが“閾値”です。閾値は生体内で反応を起こすときに最小限の量や強度のことで、この閾値を下回っていると期待する効果は得られなくなります。それこそ無駄な配合ということになります。
多くの種類を混ぜれば、それらの効果がプラスで現れるということではなくて、閾値に達していない分量では、マイナスにはならないとしても、プラス効果もないことになります。期待する効果を得るためには、どれだけの分量を加えなければならないのか、それを知らないことには配合量を決めることはできないということです。
こういったことを考慮しない健康食品は、表示内容と異なるといって指摘される例が増えています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕