健康食品 敵か味方か34 同じ素材と分量なら中身は同じか

機能性表示食品の機能性を示すために、「〜と報告されています」と表示されるものがあります。これは商品そのものを使って有効性試験をした結果ではなくて、有効性が確認された同じ成分を同じだけの量を使っていれば同じ効果があるとの前提で認められたものです。

同じ成分が同じ量なら同じ結果という前提で作られているものにジェネリック医薬品があります。新薬(先発医薬品)に対して後発医薬品とも呼ばれています。ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ成分であっても、同じように効果があるとは限りません。医薬品は有効成分だけでなく、錠剤にするための賦形剤が使われていて、これによって吸収度や吸収速度が違っていて、効果の現れ方にも違いがあるだけです。

健康食品の場合には、賦形剤だけでなく、素材そのものが同じ名称であっても、試験で有効性が求められたものと同じだとは限りません。原材料と、どこの会社の素材なのかが明らかにされなければ、同じ効果だと言うことはできません。

これまでの研究成果があるL‐カルニチンを例にすると、医薬品の成分から食品の成分としても厚生労働省から認められた2002年より、ずっと研究が進められてきました。その研究の中心となっていたのはロンザ社です。スイスに本社がある国際的な医薬品メーカーで、日本法人によって、研究データが厚生労働省に提出されて、食品の成分として使用することが許可されました。

そのロンザ社のL‐カルニチンの国内シェア率は8割ほどです。素材提供によって業界を主導してきて、ここまでのシェア率となっているのは、大手の健康食品販売会社が他社のL‐カルニチンを使っているからです。

L‐カルニチンは独特の味があって、優良なものを多くの量を使うと錠剤の場合には味に難点が出てきます。そこで多くの量を使うときには他社のものを使うことになります。ロンザ社のL‐カルニチンを使う場合には多くの量を使えなくなります。
錠剤に問題があるなら、カプセルにすればよいというのは当たり前の発想ですが、カプセルは価格が高いので、使いにくいというのが業界の普通の判断です。

同じ素材であっても、原材料の違い、加工の違い、摂取法による吸収性の違いもあり、さらに他に加えた素材によって、吸収度が低下することもあります。同じ素材なら同じ効果という発想は、健康食品では通じないという情報を伝えるようにしています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕