国民全体の健康度の話となりますが、それを見る指標の一つとなっているのは生涯医療費です。医療費が多くかかるということは健康度が低くなっている証拠であり、それだけ日常の活動も健康のための活動も制限されているということにもなります。
生涯に使われる1人当たりの医療費は、厚生労働省の調査によると約2800万円にもなります。これは医療機関に支払われる金額で、社会保険によって1割から3割を本人が負担していることになります。これ以外は保険組合や国、自治体が支払っています。
生涯医療費が増えるということは、それだけ自治体の負担を増やしているということであり、これを下げることができれば本人や家族の負担だけでなく、国の負担も自治体の負担も減ることになります。その負担を減らすことができたら、それを健康づくりにかけて、さらに医療費を下げるという好循環が期待されます。
生涯医療費の男女平均が約2800万円であって、男性は約2700万円、女性は約2900万円です。この差は寿命の長さに関係しています。長生きするほど医療機関にかかることが増えて、医療費も増えていくことを示しています。
その生涯医療費の半分は70歳以上に使われています。70歳を境に、その前の70年間に50%、その後の寿命を迎えるまでに50%が使われてい流ということです。男性の場合は平均寿命まで生きたとして12年ほど、女性は18年ほどの間に、生涯医療費の半分を使っていることになります。
生涯医療費のピークは75〜80歳となっています。このピークが下げられれば、生涯に使う医療費を大きく減らすことができるわけで、75歳の後期高齢者になるまでの期間に、どれだけ健康になるための行動をするか、その行動の期間と内容が問われることになります。
もちろん少しでも早い時期から健康づくりに取り組むことは大切ですが、少なくとも生涯医療費のピークまで10年以上もある65歳、つまり前期高齢者になったときには健康づくりを実践するべきだと考えがあります。
日本老年学会と日本老年医学会による高齢者の定義の提言では、前期高齢者(65〜74歳)は准高齢者として、高齢者(75歳以上:現状の後期高齢者)を支えていく立場となることをすすめています。
それは実際の支援をすることだけでなく、自分が健康であるように努めて、超高齢社会に貢献するという意味も含まれているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕