エネルギー代謝というと、身体が激しく動いていることを想像させることから、自律神経でいうと交感神経が盛んに働いている状態を思いうかべるかと思います。これは事実であって、興奮系の交感神経の働きが盛んになると、脂肪細胞に蓄積されている中性脂肪の分解が進んで、血液中に脂肪酸が放出されます。
中性脂肪は脂肪酸が3個、つながった形をしていて、貯蔵型の脂肪となっています。これが分解されるためには、神経伝達物質のアドレナリンが必要で、脂肪細胞にあるアドレナリンの受容体が反応して、脂肪酸に分解されるという流れになっています。
これに対して、抑制系の副交感神経の働きが盛んになっているときには、脂肪の分解は抑えられています。そのために、エネルギー代謝は低下しているわけですが、この副交感神経が優位になっている時間帯はエネルギー代謝のためのエネルギー源を体内に蓄積する重要な機会を作り出しています。
それは胃での消化、小腸での吸収、血液循環という栄養の吸収と活用に必要なことで、これが進むことによって、多くのエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を体内に取り込んでいます。その大事な働きを進めていくのが副交感神経の働きです。
同じだけのエネルギー量のものを食べても、夕食で食べる量を増やしたほうが太りやすいのは夕方以降は副交感神経が盛んになっているからで、副交感神経によって胃液も膵臓からのインスリンも分泌量が多くなります。インスリンには、細胞にブドウ糖を取り込む作用、肝臓で脂肪合成を進める作用があります。
ストレスがかかった状態では、交感神経の働きが盛んになっています。そのために消化、吸収が低下します。また、交感神経の働きが盛んになっているときには、血管が収縮して血圧が高まった状態になるので、このことが血液循環を低下させることになります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)