年齢を重ねていくと代謝が低下していきます。そのために以前と同じ食事量、同じ運動量では太っていくようになるのは仕方がないことです。実年齢が進んでいくだけでなく、身体年齢が進んで老化が進んだような状態になっても、同じように代謝は低下していきます。その代謝の低下が特に現れるやすいのは筋肉量の減少です。
筋肉は肝臓、脳と並んで多くのエネルギー代謝を行っています。基礎代謝(生命維持に必要なエネルギー量)は、個人差はあるものの、それぞれ20%ほどを使っています。
筋肉にはエネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸)を代謝させる働きがあるミトコンドリアが多く存在しています。ミトコンドリアは細胞の中にあるエネルギー代謝の小器官ですが、ミトコンドリアにブドウ糖と脂肪酸が取り込まれて、エネルギー化されています。
ミトコンドリアの中にはエンジンのような燃焼機関のTCA回路があり、酸素を用いてエネルギー代謝を行っています。酸素を多く使う高負荷の有酸素運動を続けていると、より多くのエネルギーを作るためにミトコンドリアの数が増えていきます。
逆に、有酸素運動をしない生活をしていると、ミトコンドリアが減っていくようになります。運動をして増えるのは筋肉だけでなく、筋肉細胞の中にあるミトコンドリアも増えていくのです。
細胞の中でエネルギーが多く作られるとやせていく、作られる量が少ないと太っていくというのが一般の認識です。エネルギーが多く作られるということは、その分だけ体内のブドウ糖と脂肪酸が使われています。
脂肪酸が余計になると中性脂肪が増えて、脂肪細胞の中に取り込まれて蓄積されていきます。ブドウ糖が余計になった場合には、肝臓で脂肪酸に合成されて、やはり中性脂肪が増えていきます。
食事で摂った脂肪酸は細胞に取り込まれてエネルギー化されます。脂肪細胞の中の中性脂肪は、運動をすると脂肪酸に分解されて血液中に放出され、これも細胞に取り込まれてエネルギー化されます。
運動をすれば、エネルギーが多く作られ、そのエネルギーを使って全身の細胞が作られていくので、筋肉を増やして、筋肉の働きをよくするためには、運動が必要になるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕