発達栄養107 改善に欠かせない発達栄養

発達障害がある子どもは、その状態だけでは発達障害児とはなりません。これは発達障害者支援法に書かれていることで、発達障害があって、社会的障壁があることによって生活に困難さが生じる状況がある場合に発達障害児となるというのが法律的な解釈です。

発達障害があることが前提となっているわけですが、発達障害は身体の障害のように判定しやすいものではありません。自閉症スペクトラム障害は、スペクトラムが連続体・分布範囲を示すことからわかるように、区別がつきにくい状態となっています。100%の状態もあれば10%の状態もあり、10%や20%の状態は定型発達(発達障害でない)の子どもでも該当するということは普通にあることです。

3つの項目のうち、どれかが基準ラインを超えていないと診断されないわけで、3つとも診断基準ギリギリであっても自閉症スペクトラム障害ではなく、グレーゾーンとされます。しかし、診断基準に近いということは社会生活に困難さが生じている可能性が高いのに、診断されないというのが現状です。

発達障害と診断された場合には、児童発達支援施設で改善のための支援を助けることができます。感覚統合療法では、運動によって多くの感覚を脳で整理する(感覚統合がうまくいく)能力を高めることで、脳幹の機能を高めることが目指されています。

脳の機能は成人に向かうにつれて上昇していきます。この機能の向上を進めるためには、神経伝達物質が重要で、その神経伝達物質は必須アミノ酸を材料として体内で作られています。材料が足りていても、体内で合成するためのビタミン、ミネラルが不足していたら神経伝達物質は充分に作られなくなります。

神経伝達物質を増やすための栄養摂取だけで改善ができるわけではないとしても、改善のための支援の効果を高めるためには栄養摂取は基本中の基本となることは間違いありません。この発達障害の改善に必要な栄養摂取を研究することは“発達栄養”と名づけられています。