健康づくりを視野に置いたカスタムメイド(custom made)とカスタマイズ(customize)について前回、他の用語についても解説的なところから書きましたが、それに続いて、健康づくりの実践のための考え方について、また用語解説からスタートします。
前回の例は服装のような感じでしたが、これは20年間、東京・原宿のど真ん中で暮らしてきて、日常的に耳にしてきたことが影響しているようです。今回の例は住宅から始まります。岡山に移住してから住まいには不便さを感じる毎日で、その発想から健康づくりにつなげて考えてきました。
カスタムメイドはモデルに合わせて製造することを指していて、家でいえば注文住宅です。それぞれの希望に合わせて作っているようでも、実際は既成の材料を使って、その中から希望に合うように選択して組み合わせていることが多くなっています。
これに対してカスタマイズは、新たに作り出す意味があるといっても、何もないところから作り上げているわけではなくて、木を切り出すのでも、レンガを一つずつ作っているわけでもありません。特殊なように見えても、既製品の中から選んでいます。
何が違っているのかというと発想です。カスタマイズは住宅ではリフォームやリノベーションと呼ばれることが多く、建物の内部構造を活かすのか、壁をなくしたり、玄関や階段の位置などを変えるようなことがあっても、これは改修の範囲です。
カスタマイズはイノベーション(innovation)と呼ばれることもあります。イノベーションは新機軸と呼ばれることもあり、新たな発想、新たな活用法、新たな結合によって、これまでにないものを生み出すことを指しています。
目先のことだけでなく、社会を変え、組織を成長させ、個人の自由を拡大するのが大きな目標であって、ここまでくると住宅の話から完全にはみ出しています。将来を見据えて地域の健康づくりを考えるには、カスタマイズを超えたイノベーションの発想でないと対応できないと認識しています。
まったく新たなものを作り出すのではなく、すでに地域には住民の意思や意向に合わせて作り上げられてきた“パーツ”は存在しています。そのパーツを新たな発想で組み合わせて、新たな形にしていくということで、私たちが進めてきた健康づくりのメディカルダイエットも、そのような発想で、食事、運動、休養の組み合わせの新展開を目指した活動となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕