災害が起こるたびに重要だと言われてきたのが、被災者の健康と体力の充実でした。それは災害後の生活環境によって健康度も体力も低下することを指していて、外出する機会が減り、運動だけでなく歩く機会が減ることが大きな要因とされています。
高齢者の場合には運動不足による筋力の低下、活動低下による食欲の低下、たんぱく質などの栄養不足、筋肉合成の低下があり、これが筋力の低下につながるということで、このことがフレイル(虚弱)の悪循環を引き起こすと考えられています。
災害後の生活だけでなく、健康度と体力は直後に帰宅できるかどうかにも関わっています。東日本大震災では、関東圏(一都三県)の直接的な被害は少なかったものの、電車をはじめとした交通機関が止まり、多くの帰宅困難者が発生しました。
通常のウォーキングなら3時間で到着できる距離でも、歩く人が多かったことや歩いて帰る道がわからないことで5時間以上も帰宅までかかったという人もいました。もしも道路や周辺の建物の倒壊が起こっていたら、もっと時間がかかってしまいます。
スマホのアプリを使えば、徒歩での帰宅ルートもわかるものの、通信が使えない状況も想定されることで、そのこともあって、関東圏だけでなく、帰宅困難者のためのウォーキングが各地域の団体(都道府県のウオーキング協会など)で実施されました。
防災をテーマに掲げたイベントでは、避難と被災生活を考えたウォーキングも行われます。これは従来のウォーキングイベントのように長く歩くということではなくて、より体力をつけること、より健康になることを目的とした効果的なウォーキングを学ぶ機会であることが求められます。
そして、イベントのときにだけ効果的な歩き方をするのではなくて、日常的に健康度と体力を高めるウォーキングが継続できるように、そのための資料を渡し、継続を支援するということも必要になってきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕