肝臓の働きは年齢を重ねると低下していきます。それは肝細胞で働く酵素の減少が原因と指摘されることが多いのですが、それだけが原因ではありません。
肝臓は体重の50分の1ほどの重量がある臓器です。身体が大きな欧米人は肝臓が大きく、その分だけ肝臓の能力が高く、日本人は肝機能が低いとされています。男性と女性を比べると、女性は身体が小さい分だけ肝機能も低下しやすくなっています。
肝臓は加齢によってサイズが小さくなっていく傾向があります。20〜40歳の状態を100%とすると60〜69歳では95%、70〜79歳では90%、80〜89歳では85%、90歳以降では80%とされています。
また、解毒能力も低下していきます。薬物の処理能力を見ると、20歳代を100%とした場合には、60歳代で80%、70歳代で70%へと低下していきます。
筋肉などと比べると大きくは低下しないのは、肝臓は生命維持に重要な臓器であるからです。肝臓は脂肪を合成する器官であり、肝臓にも脂肪が蓄積されています。通常では肝細胞の脂肪の割合は3〜5%であるのに対して、脂肪肝になると30%以上にも増えます。
肝細胞に脂肪が蓄積すると肝細胞本来の働きができなくなります。その分だけ肝臓が小さくなってしまったのと同じことになります。
肝臓の疾患(肝炎、肝硬変など)があると、炎症や変化を起こした部分は働かなくなります。肝臓は全身の細胞に必要になる酵素を作り出しています。その酵素によって肝機能も保たれています。ということは肝機能が低下することによって、さらに酵素が不足して肝機能が低下していくという悪循環に陥ってしまうことになります。
よく飲酒をする人が、「酒に強いから肝臓が丈夫だ」ということがありますが、これはアルコール分解酵素とアルデヒド分解酵素の働きがよいだけで、肝臓の存在している2000種類以上の酵素の、わずか2種類でしかないことを知っておいてほしいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕