認知症対策の世界では、以前から2025年問題が叫ばれてきましたが、目の前に迫ってきました(2023年7月現在)。
2025年は認知症の高齢者が700万人となり、65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると推定された年だったからです。また、認知症予備群とされる軽度認知障害も同数程度になると考えられています。軽度認知障害になると5年で半数が認知症に進行するとされています。
2025年は団塊の世代が全員、75歳以上になる年でもあり、75歳は介護対象者が増えていく分岐点ともなっています。
これまで高齢者の介護というと、身体の介護が主な課題とされてきましたが、今後は身体とともに認知症による介護も重要になっていきます。
それを踏まえて、2023年6月14日に、認知症基本法が成立しました。法律が成立すると一般的には1年以内の施行とされてきましたが、認知症は急を要するとの認識から6か月以内の施行とすることが明記されています。
認知症基本法については前回(Age free岡山25)、概要を紹介しましたが、これを実施するために、それぞれの責務が定められています。
〔国の責務〕認知症施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。
〔地方公共団体の責務〕認知症施策に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有する。
〔保健医療サービス、福祉サービスを提供する者の責務〕国・地方公共団体が講ずる認知症施策に協力するとともに、良質かつ適切なサービスを提供するよう努めなければならない。
〔日常生活・社会生活を営む基盤となるサービスを提供する事業者の責務〕国・地方公共団体が講ずる認知症施策に協力するとともに、サービスを提供するに当たっては、事業の遂行に支障がない範囲内において、認知症の人に対して必要かつ合理的な配慮をするよう努めなければならない。
〔国民の責務〕認知症に関する正しい知識を持ち、認知症の予防に必要な注意を払うように努めるとともに、認知症の人の自立・社会参加に協力するよう努めなければならない。
認知症予防は国や自治体、事業者が取り組むだけでなく、国民は自分や家族、地域の直接的な問題として、予防に効果があるとされる食事や運動、休養などに積極的に取り組むことが求められているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕