健康経営は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することを指しています。企業理念に基づいて、従業員への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上などの組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながることが期待されています。
上記の解説は、経済産業省によるものですが、健康経営研究会は「人という資源を資本化して、企業が成長することで社会の発展に寄与すること」を健康経営の理念として掲げています。人を資本として新しい企業価値を創造するための投資であり、そのベースとなるのは心と身体の健康づくりとしています。
健康経営研究会の岡田邦夫理事長は、大手企業の産業医でしたが、私(小林正人)が月刊情報誌「健康日本」の編集委員を務めていた日本健康倶楽部の理事でした。「健康日本」でも2シーズン(計24回)にわたって健康経営について掲載して、健康と経営というかけ離れた考え方を企業経営の中で一致させることの重要性について学ばせてもらい、それを誌面を通じて訴えてきました。
この考えは政府や自治体の理解と応援のもとに、多くの経営者が健康経営に取り組み、従業員のヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい情報を入手して理解、活用する能力)の向上も進んできました。
自分の身体について考え、多くの健康情報の中から適切な情報を見極めて、実践していくことによって、企業の健全経営にとどまらず、社会の一員として健康寿命の延伸に取り組むことが求められています。
健康経営の具体的な取り組みとしては定期健康診断の受診率100%、ストレスチェックの実施、従業員への健康教育の実施が基本としてあげられています。現在の法律では定期健康診断には歯科健診は義務づけられていませんが、歯と口腔の健康を保つことは健康経営の視点からすると健康の維持と増進には欠かせないことといえます。
歯科健診を健康経営の基本として取り入れることをすすめるには、いかに健康の維持に重要な位置づけであり、経営的にも必要かということを経営者が理解することから始まります。そして、経営者の考えを実践するためには従業員の理解が必要であり、そのための教育と情報発信が求められています。
産業医や歯科医による健康講話、セルフメディケーション研修、ウォーキングなどの実践といった健康づくりから始める企業が多いようですが、実践については個人の状態に合った方法が選択できるように、多くの健康づくりのパーツを提供することが大切になります。
そのパーツの提供とともに、情報についても提供し続けることが健康デザインの役割だと認識しています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕