発達障害支援19 兄弟姉妹の発達障害の確率

発達障害児の保護者の支援では、発達障害の原因の一つが遺伝であることは、あまり言わないようにする雰囲気があります。発達障害は特性であって、発現したのは誰のせいでもないという言われ方がされていて、保護者の頑張りに水を差すようなことがないように、支援する人も、講習などで伝える人も避けているところがあります。

私たちは改善の支援に取り組み、それを栄養面でアプローチすることを目指して講習をしているので、実態を明らかにして、対策を考えることを重視しています。その観点で、遺伝の可能性についても伝えるようにしています。あくまで支援する人たちに対してのことですが。

発達障害の自閉症スペクトラム障害の研究では、双生児の発現率の調査が世界的に行われています。一卵性双生児では約70%、二卵性双生児では約30%の発現率とされます。これは双生児の一方が自閉症スペクトラム障害であった場合に、もう一方が自閉症スペクトラム障害である確率を示しています。

これに対して定型発達(発達障害でない)の兄弟姉妹では20%以上の確率で自閉症スペクトラム障害が発現するということです。二卵性双生児と比較すると、それほど大きな差ではないように見えます。しかし、定型発達であっても20%以上の発現率ということは、かなりの高確率とも言えます。

障害がある子どもの兄弟姉妹は“きょうだい児”と呼ばれることがありますが、発達障害のある子どもでも“きょうだい児”が増えている傾向があります。それは発達障害の診断が進んできて発見の確率が高まってきたこともありますが、発達障害が全児童の10%にもなっているという事実を踏まえると遺伝についても考えておく必要があります。

発達障害の遺伝については親子の発現の確率についても知っておく必要があります。これについては次回に紹介します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕