サプリ概論268 臨床栄養とサプリメント

サプリメント(supplement)は通常の食生活では不足する栄養素を補うために使われるもので、食生活が完璧でないとしてもサプリメントを摂れば完璧に近づけることも可能です。食事をする人にとってはサプリメントはありがたい存在ではあるのですが、栄養指導をする栄養士、管理栄養士にとっては、あまりすすめたくないものにもなります。

食事内容を完全に把握して、完璧な栄養摂取ができるように指導する臨床栄養の栄養士・管理栄養士になると、サプリメントは敵にもなります。そのようなものがあるから、食事で摂る栄養素が軽視されることになり、不足しても重要だと考えない人も出てくると考えられます。

サプリメントはビタミンやミネラルが中心になるので、まだ認められるとしても、健康食品となると「絶対に許せない存在」と完全な敵として認識している臨床栄養関係者も少なくありません。

健康食品には血糖値を下げる成分、血圧を下げる成分などが含まれたものがあります。特定保健用食品や機能性表示食品は、その機能性を表示して販売することができるものですが、医薬品が必要な状態になった人に使ってよいものではありません。

それ以外の健康食品は機能性が明らかでないものがあるということで、こういったものが「臨床栄養の敵」とまで言われています。というのは、栄養指導をしても、血糖値を下げる健康食品やお茶を使っているからと栄養指導に従わない患者が少なくないからです。

日本臨床栄養協会がサプリメントアドバイザーの資格認定を始めることになったときに、協会から離れていったのは、このような考え方をしている病院で勤務している栄養士・管理栄養士でした。