発達栄養116 妊娠前から始める子どものための栄養摂取

子どもの栄養摂取の指導は、生まれてからではなく、妊娠中でもなく、妊娠前から始める必要があると考えられています。女性の栄養摂取の状態を見ていくと、一般には家庭で食事をしている年代は栄養バランスが比較的とれています。

高校を卒業して親元を離れたときからバランスが崩れやすくなり、結婚をして家族と食事をするようになると再びバランスがとれるようになります。これは厚生労働省による国民健康・栄養調査の結果を見ても、その傾向があることがわかります。

妊娠前からの栄養摂取というと、結婚をしてからの食事というイメージが抱かれるものの、子どもの発育や健康状態に関わる栄養摂取は20歳前後の時点から始まると考えられています。

子どもの健康に関わる栄養素としてはカルシウムや鉄などが重視されています。これらのミネラルは体内に蓄積されて、安定的な状態になるまでには4〜5年はかかるとの研究報告もあります。

親元を離れてからも食生活が充実した内容であった場合には、重要なミネラルが大きく不足することはないとされるものの、一人暮らしなどによって栄養バランスが崩れた期間が2〜4年もあると、回復するのに期間がかかります。

妊娠中の胎児の栄養状態を考えるときには、高校を卒業したときから、それまでの食生活を継続できるように、親元にいるときから栄養バランスについて考え、一人でもバランスのとれた食事を継続するためのトレーニングが必要になります。

となると、妊娠前からの栄養摂取は、親元にいるときから始まると考えるべきであって、そのことを伝える親の食事に対する考え方と栄養知識が重要ということになってきます。孫の栄養状態は、祖父母の責任と言うこともできるということです。