厚生労働省の「健康日本21」では、歯・口腔の健康について目標を定めて健康づくりを推進しています。その現状と目標から歯の喪失の防止について学齢期のう蝕(むし歯)防止を紹介します。
◎学齢期のう蝕予防
永久歯は5歳前後から生え始めますが、第2大臼歯がほぼ生えそろう12歳時点で、すでに1人平均う歯数は2.9歯となっています。
このように永久歯が生えてから比較的短時間に急速にう蝕が増加していることから、12歳児におけるう歯数を減少させていくことを目標として、永久歯う蝕を予防していく必要があります。
なお、12歳児におけるう歯数の減少の目標として、1人平均う歯本数を1歯以下に減少していくこととしています。これは目標として明確さや、わかりやすさなどを配慮したものであり、歯科疾患実態調査、学校保健統計調査の推移や、地域・集団における歯科保健対策による改善実績などのデータから、全国の指標として妥当なものとして設定されたより詳細な目標数値は1.4歯以下となっています。
学齢期のう蝕予防についても、基本的には幼児期と同様であり、う蝕を誘発する甘味飲食物の過剰摂取制限、歯口清掃による歯垢(デンタル・プラーク)の除去、歯質の強化対策としてのフッ化物の応用などが基本となり、さまざまな介入研究などにより、う蝕抑制効果が示されています。
◎学齢期のう蝕予防の目標
・12歳児における1人平均う歯数(DMF歯数)の減少
目標値:1歯以下
・学齢期におけるフッ化物配合歯磨剤使用者の割合の増加
目標値:90%以上
・学齢期において過去1年間に個別的歯口清掃指導を受けたことのある者の割合の増加
目標値:30%以上
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕