Medical Diet190 2日間で食事量を調整すればよいのか

太る、やせるという体脂肪の増減をエネルギーの出し入れで考えると、食べ過ぎた日があれば、翌日は食事量を減らして、2日間の食事量で調整すればよいという考えは正しいことになるかもしれません。

しかし、エネルギーの体内への蓄積ということから見ていくと、2日に1回であっても食べ過ぎるような生活習慣は避けるべきこととなります。それは人間の身体は飢餓状態に耐えられるように作られてきて、今のような“いつでも、どこでも、好きなだけ食べられる”という時代になっても身体のメカニズムは変わっていないからです。

エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が必要量よりも多く体内に入ってきたときには、ひょっとすると明日は食べられないかもしれないという状況に備えるために、余分な分は体脂肪として蓄積されます。体脂肪は脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪です。

余分なエネルギー源は肝臓で脂肪酸に合成されて、さらに中性脂肪に合成されます。中性脂肪は脂肪酸が3つ結びついたもので、分解されにくくなり、保存用のエネルギー源となります。糖質とたんぱく質のエネルギー量と比べて、同じ重量では脂質(脂肪)は2倍以上もあります。

少ない容量で多くのエネルギーを溜め込めるので、わざわざ中性脂肪に変えているのです。だから、多く食べ過ぎた日には、多くの体脂肪が蓄積されることになります。

次の日に食べる量を減らして、前日の食べ過ぎの分と調整したとしても、食べ過ぎによって増えた体脂肪が大きく減るわけではありません。体脂肪は生き抜くための重要なエネルギー源なので、エネルギー摂取が大きく減らない限りは分解されて、脂肪細胞から血液中に放出されるようなことにはなりません。

脂肪細胞の中の中性脂肪が分解されるためには興奮作用があるホルモンのアドレナリンが分泌されることが必要です。最もアドレナリンが分泌されるのは運動をしたときです。脂肪細胞に多く蓄積された中性脂肪を減らすためには、ただ食事量を減らすだけでなく、運動も必要になります。

運動が好きな人なら好きなことをしてもらえばよいのですが、あまり運動はしたくないという人は食事量だけで調整しようとは考えないほうがよいということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)