噛む噛むeverybody21 成人期のう蝕予防

厚生労働省の「健康日本21」では、歯・口腔の健康について目標を定めて健康づくりを推進しています。その現状と目標から歯の喪失の防止について成人期の歯周病予防を紹介します。

◎成人期の歯周病予防
歯周病は40歳以降に歯を失っていく大きな原因となっていて、歯科疾患実態調査(平成5年)によると35〜44歳の27%が歯周炎に罹患しています。同年齢で歯肉炎も含めると、81.2%に症状が認められていて、これ以降、加齢的に歯周病が増悪し、それとともに喪失歯数も増加しています。

このため、進行した歯周炎に罹患している者(4mm以上の歯周ポケットを有する者)の割合を減少させることを目的に、この時期に歯周病の予防、進行防止を徹底することが歯の喪失防止に重要となります。

歯周病のリスク要因としては、疫学研究によって喫煙、歯間部清掃用器具使用の有無、過度の飲酒、定期歯科検診・受療の有無、食習慣、歯磨き回数などが示されています。

1)歯間部清掃用器具の使用
通常使用する歯ブラシでは歯と歯の間の部分の歯垢(デンタル・プラーク)を完全に落とすことができないため、この部分から歯肉の炎症が生じるケースが多くなっています。このため、歯間部清掃用器具(デンタル・フロス、歯間ブラシなど)を使用する必要があります。

2)喫煙
近年、喫煙が歯周病と歯の喪失のリスクファクターとして重要な位置を占めているとの報告があり、歯科保健の分野からも喫煙の健康影響についての十分な知識の普及を進める必要があります。

また、歯周病に罹患している者、特に進行した歯周病に罹患している者については、必要に応じて禁煙支援、指導を行っていくことが重要となります。

3)その他
歯周病の発生・進行を防止するためには、定期的な検診、歯石除去、歯面清掃が効果的であることが多くの介入研究などによって示されていて、かかりつけ歯科医などのもとで、こうした歯周病管理を受けている者を増加していく必要があります。

また、歯周病を初期のうちに自己管理して、手遅れになるのを防ぐためにも、例えば週1回以上、鏡で自分の歯茎の状態を観察するなどの習慣を定着していくことは効果があるものと思われます。

実際に、生徒を対象とした研究ではあるものの、歯肉の状態を自己観察して記録するように介入することにより、歯肉の状況の改善に効果があったとの報告がなされています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕