歩くことは健康維持の基本的な行動で、自由に歩くことができるだけの筋力と持久力を維持するためには歩くことが必要になります。「歩かなければ歩けなくなり、走らなければ走れなくなる」と健康づくりの機会に言われることがありますが、自分の足で歩き、自由に行動することによって、身体機能だけでなく、脳の認知機能の維持にもつながります。
歩くことというと、長く歩くことが健康のバロメーターとされてきた時代があります。長く歩くというのは距離と時間を指していて、長距離を歩けるほど健康、長い時間のウォーキングができるほど健康とイメージされています。
歩けるということが健康なので、歩き方は関係ないという専門家も中にはいるのですが、同じ距離を歩いたとしても、どれだけの時間で歩くことができるのかは大切なことです。歩数計の記録だけを見て、健康度を推測するだけではいけないのです。
歩き方というと歩行姿勢や身体の動かし方(足の運び、腕の振り方など)を指すこともありますが、ここで示したいのは歩行速度です。歩行速度はエネルギー消費の指標でもあった、時速7kmほどのスタスタ歩きは効率よく長く続けられる運動にもなります。
走らないまでも必死になって歩いている速度は、一般にはジョギングよりもエネルギー消費が高くなります。そこまでの速歩を目指すことはなくて、なんとか会話をしながら続けられる速歩、つまりスタスタ歩きが目標となります。
体力の衰えは筋力の低下と比例していて、筋力が低下してくると普通歩行はできても速歩は苦しくなってきます。歩いているだけなのに、速度が上がるときつく感じるようになるのは筋肉が減ってきたか、筋力(主には筋持久力)が低下してきた証拠とされます。
筋力を保って速歩が続けられるようにするには、速歩をすることが必要です。といっても、年齢を重ねてくると、ずっと速歩をするのは筋肉にも心肺にも負荷がかかり過ぎるようになるので、3分間だけ速歩をして、次の3分間は普通歩行、次に速歩というように交互に歩行速度を変える歩き方がすすめられます。
これはインターバル速歩やインターバルウォーキングと呼ばれる歩き方で、高齢者の場合には速度を変える歩き方で筋肉が増えていくことも報告されています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕