活性酸素を消去する抗酸化成分は、色鮮やかな食品に多く含まれています。抗酸化成分の多くは色素で、紫外線を多く浴びる植物は紫外線によって発生する活性酸素によって細胞が破壊されないように抗酸化成分を作り出しています。
活性酸素によって細胞が破壊されることで特に影響が出るのは血管で、活性酸素が多く発生するほど血管が傷つきやすくなります。また、活性酸素は悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポ蛋白)を酸化させ、このことが動脈硬化につながることから、血管の健康状態を保って、全身の健康に結びつけるためにも抗酸化成分が注目されています。
数多くある抗酸化成分の中でも手軽に摂取できて、しかも抗酸化作用が高いのは緑茶に含まれるカテキンです。抗酸化成分は色が濃い色素というのが原則ですが、カテキンは透明に近い黄色です。これは人間の目には見えにくい可視光線だからです。
ところが、緑茶の濃い緑色がカテキンだと勘違いされることがあります。緑茶の緑色はクロロフィル(葉緑素)の色で、これは抗酸化成分ではありません。それなのに緑色が出るからと、お湯を淹れてから時間が経った茶葉でお茶を飲んでいる人が少なくありません。
抗酸化成分は酸化しやすい特徴があります。体内に入って、活性酸素によって酸化することで、身体の細胞が酸化するのを防いでいるのです。カテキンは高い抗酸化作用があるということは、酸化しやすいということです。
お湯を淹れた後には酸化が急速に進むので、すぐに飲んだときには抗酸化作用を発揮するものの、時間が経過して酸化した茶葉のお茶を飲んだら、酸化したものを体内に入れているので、期待する抗酸化作用とは逆のことが起こってしまいます。
だから、カテキンの抗酸化作用を活用するなら、淹れてすぐのお茶を飲むか、サプリメントとして摂ることがすすめられます。ペットボトル入りの緑茶飲料も透明か薄い色の容器では紫外線によって酸化が進みます。
酸化を抑えるためにビタミンCが添加された緑茶飲料もありますが、その多くは製造後の流通段階での酸化を抑えるために使われているので、目の前に届いたときにはカテキンの抗酸化作用は低下していると考えたほうがよいのです。