生活習慣病の改善には食事療法と運動療法の両方が重要だと言われても、治療段階になって医薬品を使っていると食事療法も運動療法も二の次にされることがあります。しかし、肥満は見た目でもわかりやすく、治療の基本はやせることであるので、やせるためには食事と運動が重要であることもわかりやすくなっています。
ところが、実際には効果的な医薬品が使われた瞬間に、これまでの食事と運動への心がけが消え去ってしまう人がいるのも事実です。
日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」によると、治療薬を使用するのは食事療法と運動療法によって効果が得にくい患者だけであって、その両方をしないままに医薬品を処方することを厳に戒めています。
ガイドラインではBMIが25以上を肥満、BMIが30以上を高度肥満としています。
肥満症の食事療法は、BMIが25以上の場合には3〜6か月で現在の体重の3%減を目指します。そのために目標体重の1kgあたり25kcalを1日の摂取エネルギー量にします「25kcal×目標体重(kg)」。
高度肥満の場合には「20〜25kcal×目標体重(kg)」と少なめの食事摂取を目指すことになります。
肥満症の運動療法は、有酸素運動を中心として、軽度〜中強度の運動を1日に30分以上、あるいは1週間に150分以上が目標となります。
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)ではBMIが25以上の人は26.3%と思ったよりも多くの人が肥満症であることが指摘されています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)