医科歯科連携は厚生労働省によって進められている医療の質を向上させる活動の一つで、患者に対して医科と歯科が協働することで総合的な治療を提供することを目指しています。
医科歯科連携による治療は栄養状態の改善、体調の早期回復、術後の合併症の予防、入院日数の削減、さらには医療費の抑制にもつながります。
歯周病菌は口腔内の問題だけでなく、心臓や脳の疾患の原因ともなり、誤嚥性肺炎肺炎や糖尿病、低体重児出産や早産の危険を増大させることが報告されています。
医科歯科連携は歯科が設置されている大規模な医療機関から始まり、徐々に連携機関が増えていますが、地域での医科歯科連携の拡充については今後の課題とされています。
歯科は治療が必要な状態になる前から予防・健診として関わることができる分野で、子どもの歯と口腔の健康の維持(むし歯予防や噛み合わせ調整など)は健全な成長に影響を与える重要な要素となっています。
一生涯の健康の入口となる子どもの健康づくりを、地域で医科歯科連携によって構築していくことの重要性を訴え、医科・歯科と保護者が一緒に子どもの健康のために実践できることを進めていくことが、少子化・超高齢社会を支えるために重要であると強く認識しています。
子どもの歯と口腔の健康、身体の健康は、疾患の予防、早期の回復を目指しているだけでなく、脳や神経の発達にも大きな影響を与えています。
疾患や障害などによって低下した身体の状態を回復・改善させることは、もちろん優先すべきことですが、持って生まれた能力を育み、高めることも重要なことです。
発達にばらつきがある子どもは凸凹(デコボコ)と表現されます。これまでの子どもに対するケアは凹を埋めることが主流となっていましたが、凸を高めることも重要との考えが広まってきました。
この能力を高めるための支援はハビリテーション(habilitation)と呼ばれます。リハビリテーション(rehabilitation)は「元の状態に回復させること」を指しているのに対して、ハビリテーションは「幼少時から持っている機能を活かして発達させること」を指しています。
子どもの健康づくりは日々の実践が重要であり、それを担うのは医師・歯科医師の指導を受けた保護者です。保護者に専門知識のポイントを伝え、疑問や質問に答えるのは医師・歯科医師と、その専門スタッフとなります。
医科・歯科が保護者と連携して、子どもの健康づくりの指導を継続的に行うためには、情報提供の他に、質問などの内容に応じて、各分野の専門家に問い合わせて、的確に返答できる体制も必要となります。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕