イミダゾールジペプチド(imidazole dipeptide)は、略してイミダペプチドや、さらに略してイミダとも呼ばれますが、長距離を飛ぶ渡り鳥の持久力の元として紹介されることが多くなっています。鳥の胸肉に多く含まれるのは事実ですが、そのほかにも動物の筋肉に多く含まれているカルノシン、アンセリン、バレニンに代表されるジペプチドの総称です。
ジペプチドは2つのアミノ酸がつながったもので、カルノシンはβアラニンとヒスチジン、アンセリンはβアラニンと1メチルヒスチジン、バレニンはβアラニンと3メチルヒスチジンから構成されています。
アラニンは2種類あり、αアラニンは体内の細胞に含まれるタンパク質を構成する成分で、βアラニンは動物の筋肉中にあるアミノ酸です。
ジペプチドのうち健康食品のイミダゾールジペプチドに使われているのはカルノシンで、2003年の産学官連携の抗疲労食薬開発プロジェクトによって研究が始まりました。
トリ由来のイミダゾールジペプチドが配合された健康食品は、機能性表示食品として届出されていて、「日常生活で生じる身体的な疲労感を軽減する機能がある」と機能性が表示されています。
体内では、乳酸の分解促進、尿酸量の調整、筋肉pH低下の緩衝作用、抗酸化作用が認められています。
これを摂取することで筋肉中に蓄積して、筋肉運動のパワー低下を防ぐことができたというパフォーマンス向上の研究成果もあります。体内に吸収されるときには2つのアミノ酸に分解されるものの、体内でイミダゾールジペプチドに再合成されます。
イミダゾールジペプチドを4週間摂取した後に4時間の自転車漕ぎ運動をして、肉体疲労の負荷を測定する試験が行われています。その結果、摂取しなかったグループと比べて1.5〜2倍の疲労予防の差が出ました。また、疲労回復力を高める効果も確認されています。