発達栄養129 たんぱく質の摂取と腸内環境

たんぱく質は身体を構成する重要な成分で、筋肉や内臓を成長させるためにも、ホルモンや酵素などの身体の調整をする成分の材料となっています。摂取すべき栄養素の3要素の一つで、そのほかはエネルギー源となる糖質と脂質、身体を調整するビタミンとミネラルです。

たんぱく質がバランスよく、豊富に含まれている食品は「良質なたんぱく質」と呼ばれていて、それに該当するのは肉類、魚類、卵類、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品です。これらの中から選んで食べるようにすればよいわけで、そのように栄養指導が行われています。

ところが、前回(発達栄養128)、便通も考えた栄養摂取が必要という説明をしたように、発達障害がある子どもは、自律神経の副交感神経の働きが弱い特性があるために、消化、吸収、蠕動運動、排泄の機能が低下しやすくなっています。

便通に大きく影響する腸内環境は、腸内細菌のバランスで大きく変わってきます。善玉菌の栄養源(エサ)を多く摂り、悪玉菌の栄養源を減らすようにすることで、善玉菌を増やして腸内での発酵を進めていくことができます。

たんぱく質のうち動物性たんぱく質である肉類、魚類、卵類は悪玉菌の栄養源になって、悪玉菌を増やすことになります。便通に困難さがある子どもには、たんぱく質を多く摂ればよいわけではないということですが、動物性たんぱく質であっても牛乳・乳製品には乳糖という善玉菌の栄養源になる糖質も含まれています。

ただし、脂肪は悪玉菌の栄養源であるので、脂肪の含有量が多い通常の牛乳ではなく、脂肪が少ない低脂肪牛乳を利用することです。牛乳以外の乳製品でも今は低脂肪のものも増えてきています。

また、植物性たんぱく質の大豆・大豆製品は悪玉菌の栄養源にはなりにくく、食物繊維が豊富に含まれていて、食物繊維は善玉菌の栄養源となります。ただし、豆腐は大豆から食物繊維が多い部分のおからを取り除いたものなので、できれば大豆を丸ごと使った大豆の煮物、納豆を食べることがすすめられます。

ただし、納豆を苦手な子どもも多いので、食品の選択には注意が必要になります。