早食いは太る、健康に悪影響を与えると言われますが、このことについての研究も、さまざまな機関で行われてきました。食べるのが早く、飲み込むまでの咀嚼する回数が少ないほど、体重、BMI(体格指数)が増加することは知られたことであり、早食いが食べ過ぎに関係すること、食事誘発性体熱産生量を減らすことが理由として説明されています。
しかし、固体について飲み込むときの食べ物の大きさと食事誘発性体熱産生量については、明らかにされてこなかったところがあります。
その食べ物の大きさと食事誘発性体熱産生量については、早稲田大学の研究グループが液状の食物でも同じようなことが起こるかの研究に取り組み、その結果を発表しています。
被験者は11名、平均年齢は23歳で、安静時の値を測定した後に、全員に日をあけて3回ずつ異なる試行方法で、同じ飲料を5分間で摂取してもらっています。その飲料は20mlのコップに分けた10杯のココア味の飲料で、合計200mlです。
一つ目は、飲料20mlを30秒ごとに1回飲み込むことを10回繰り返しました(対照試行)。二つ目は、飲料20mlを30秒間、口に含んだ後に飲み込むことを10回繰り返しました。そして、三つ目は、30秒間、口に含んでいる間に、1秒に1回噛んでから飲み込むことを10回繰り返しました。
各回ともに摂取前から摂取90分後まで、ガス交換変量を計測して、その値からエネルギー消費量を算出して、食事誘発性体熱産生量を求めました。食事誘発性体熱産生量は食後のエネルギー消費量から、食事前の安静時を引いたものを表しています。
その結果は、食後90分間の食事誘発性体熱産生量の総計は対照試行の場合は平均3.4kcalでした。味わう時間を長くした試行では平均5.6kcal、咀嚼を加えた施行では7.4kcalと高い値を示しました。
この結果から、固形のものだけでなく、液状のものであっても、ゆっくりと味わい、よく噛んで摂取することによって食事誘発性体熱産生量が増加することが明らかにされました。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕