2人で1組のポールで歩く理由

ノルディックスタイルのウォーキングに使われるポールは2本で1組となっています。これを左右の手に持って、スキーのストックのように使って歩くもので、一般にはノルディックウォーキングとポールウォーキングに大別されています。ノルディックウォーキングは北欧で誕生したスポーツ感覚のポールを使ったウォーキングで、イメージとしては横にポールをついて後ろに押し出す感覚で、グイグイと前進していきます。ポールウォーキングは日本生まれで、イメージとしては前にポールをついて腕の力も使って前進して行くウォーキングです。
ポールウォーキングを街中でも行っている人を見かけるようになったせいか、杖で歩くときに1本ではなく左右に1本ずつ、両手に杖を持って歩いている人も見るようになっています。中にはポールウォーキングを完全に杖の代わりに使って歩いている人もいて、混雑している道で高齢者が、これをすると周りの人にも本人にとっても危ないと感じることも少なくありません。
東京の赤坂見附から青山一丁目に向かう緩やかな坂道で面白いというか奇妙なというか、変わったポールの使い方をしているご夫婦らしき2人がいました。腕を組んでお互いに支えながら、2人とも外側の腕には、それぞれポールを持って坂を登っていました。二人三脚ならぬ“二人二腕” とでも呼んだらいいのか、同じ調子でポールをついて、その支えを使って歩かれていました。
これを見ていて、ポールは左右の足の動きに合わせた腕の振りと同じリズムでつくだけでなく、スキーを滑るときに両方のストックを同時について腕の力を使って前進していくのと同じ感じで歩く方法もありだな、と感じました。胸の筋肉に負荷がかかり、胸を張りながら歩くという姿勢を身につけるのにもよい方法です。
変な歩き方をしているな、ではなく、歩くことを趣味なり生業(なりわい)にする人には、すべての歩く人の姿には学ぶべきところがあり、それを自分の歩き方や指導をするときに活かすべきだということを感じさせられました。