ツイン・ウォーク82 膝軟骨ケアのウォーキング

膝の関節に痛みがある疾患としては、変形性膝関節症、関節リウマチ、半月板損傷、膝靭帯損傷など、さまざまな原因がありますが、中でも圧倒的に多いのは変形性膝関節症です。50歳以上では2400万人と、発症は2人の1人の割合となっています。

これはレントゲンで確認された数であって、このうち痛みを感じている人、訴えている人は820万人とされています。これは6人に1人の割合になりますが、女性の発症率が高く、男性に比べると1.5〜2倍になっています。

これは女性の場合には筋肉量が少なく、膝にかかる負荷が大きい上に、年齢を重ねると体重が増加することも原因とされています。

膝に痛みがあるときには、激しい運動を避けることだけでなく、歩くことも控えるように指示されることもあります。しかし、原因が変形性膝関節症であって、軟骨がすり減った状態では膝関節を動かさないことによって、膝の痛みが解消しないことにもなります。

というのは、膝関節の軟骨は、血管を通って軟骨成分が直接的に運ばれているわけではなく、関節を包む滑膜(滑液膜、関節包)の中の粘度のある液体に入ってから軟骨に入っていくからです。滑膜の中に軟骨成分が入るためには、膝関節が動いて、滑膜が収縮を繰り返して、その周りにある血管を通して軟骨成分を取り込む必要があります。

そのためには膝が動く必要があって、痛いからといって動かないでいると軟骨が回復しにくくなるのです。だから、少しずつでもよいので歩くことがすすめられます。

痛みがあって歩きにくいときには、2本のポールを使って、膝への負荷を弱めて歩くこともすすめられます。

変形性膝関節症や関節リウマチによって傷んで変形した膝関節を人工関節に置き換える手術(人工関節置換術)をしたときには、できるだけ歩かないことが指示されることがあります。

人工関節は耐久性が上がってきたとはいえ、耐久年数は20年ほどだからです。ところが、内科系の医師からは血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値が高いときには歩いてエネルギー消費を高めて改善することが指示されます。

整形外科では歩かないように、内科では歩くようにという逆の指示に対して困惑させられることもあるわけですが、これも2本のポールを使って歩くことで膝にかかる負荷を弱めて、エネルギー消費を高めるという両方がかなえられることになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕