健康食品や健康器具の販売事業者から、法令遵守の“作戦参謀”を依頼されることがあります。タクティシャンを作戦参謀と認識してのことです。どんな業界であっても法律を遵守するのは当然のことですが、健康に関わる商品を販売する業界では特に注意をしなければならないことがあり、法律によって厳しく取り締られています。
その法律は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といって、薬機法と短くして語られることもありますが、以前は薬事法という3文字だけの法律名でした。長い名前になったことで、何を規制する法律かわかりやすくなりました。
このほかにも複数の法律があって、これらを組み合わせて規制されていますが、どの法律でも“ダメ出し”されるのは医薬品にしか許されていない有効性を表示したり、述べたりして販売することです。
この場合の法令遵守は健康効果を表示しないで販売することですが、法令遵守はコンプライアンス(compliance)の和訳として使われています。会社が法律を守った活動をしていればコンプライアンスを重視したことになるというのが一般の認識ですが、社会的ルールを守っていなければコンプライアンス重視の企業だとは言えません。
失態を起こして記者会見をした会社が、法律違反をしていないことを強調してコンプライアンス重視と発言していたときに強く感じたことで、「コンプライアンスは社会的要請への適応」ではないかと“ツッコミ”を入れたくなりました。
いくら法律違反をしていないと発言しても、侵害を賠償しても、それでは済まないのが“世間の目”で、失態を起こす結果になった根本問題を解決しないままコンプライアンスと言い続けても納得はしてもらえないのが今の時代です。
そのような「社会的要請への適応」がなっていない会社の態度には、記者会見を乗り切ったとしても、“社会的要請”がネット上の声として湧き上がったら、「法令遵守をしているから〜」という言い訳は通じなくなります。
ここまでの認識を持ってコンプライアンスのための“作戦参謀”の依頼があるときには、「要請への適応」として応じることとしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕