これって聞き間違い? 11「自分も自慢話をさせてもらいます」

有益な情報を持っている人を合わせることで、新たな価値を生み出すきっかけになるのは、どの世界でもあることで、ウォーキング団体の役員と会員組織の活用で実績のある営業マンの面談をセッティングしました。

団体役員は広告業界では名を馳せた方で、過去の実績が活かされて新たな世界でも活躍されていたので、その実績を語ることで自分を知ってもらいたいという意向がありました。そのことは営業マンにも伝え、時間がかかるかもしれないこと、相手の話が終わるまでは中断しないこと、それ以降に本題を切り出すことを確認してから臨みました。

予想どおりの展開になり、これから営業マンが話をする番になって、初めて口に出したのは役員も私も唖然とさせるような言葉でした。それは「自分も自慢話をさせてもらいます」。

役員の話は自慢話ではなく、過去の実績と現在の仕事の関わりであり、それを自慢話と感じたとしても、その場で言うことではないのは普通の営業感覚です。

その話の内容も仕事ではなく、自分の家柄や生い立ちから始まって、最後の提案の文面を見せて短く話をまとめたという感じでした。家柄や生い立ちということでは、役員の祖父は歴史の教科書にも出てくる方で、それをひけらかすこともなく、淡々と仕事に関わる話をしていたのですが。

後日に営業マンから会ってほしいとの連絡があり、反省の弁があるのかと思っていたのに、本人の口から聞いたのは「どうして連絡が来ないのか」という疑問の声でした。

相手の自慢話に対して、自分も同じように返しただけ、というつもりだったようです。

実際はどうあれ自慢話と感じたら、自分を偽ってでも付き合うのは営業マンの鉄則と思っていたのですが、そうではなかったという結果です。後に営業マンを紹介してくれた広告関係の方に聞いでも、「自分を小さく見せたくない、見られたくないという人ではない」ということで、今でも疑問が残っています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕