体質との調和6 体質に合わせるのは漢方薬だけでない

中国に抗がんの「きのこ製剤」の取材に行ったときのこと、基礎知識として病院の治療に使われている西洋医学の医薬品と東洋医学の漢方薬の関係について説明を受けました。

用語の違いから触れていくと、中国では東洋医学とは呼ばすに“中医学”であり、漢方薬は“中医薬”と呼ばれています。漢方薬というのは中医薬を日本流にアレンジしたもので、同じ漢方薬(中医薬)の成分を使っていても中国とは違う組み合わせとなっています。

中国人と日本人は体質が異なるのだから、これは当たり前という感覚です。

中国の医療は西洋医学が基本です。それに中医学を組み合わせているのかと思ったら、治療薬は(西洋医学の)医薬品も中医薬も同じ位置づけをされていました。中医学の発想で、医薬品も体質に合わせて処方され、どんなに効果がある医薬品であっても体質に合わないものは使わない、体質に合った他の医薬品を使う、体質に最も適した中医薬と組み合わせるということが普通にされていました。

私が主任研究員を務めていた臨床栄養の研究所の所長が、東洋医学国際研究財団の副会長でもあったことから、一般向けの東洋医学の解説書を作ったことがあり、それなりに知識があったはずですが、医薬品を中医学の発想で扱っているというのは驚きでした。

抗がんの「きのこ製剤」は槐耳という、日本でいえば健康食品の素材で、製法も同じですが、がん治療に抗がん剤、放射線治療、手術と合わせて使うことで治療効果を向上させる一級医薬品(医療機関でのみ扱われる医薬品)となっていました。

20年をかけた国家プロジェクトで医薬品となりましたが、どこの病院でも普通に使われていたことにも驚きました。きのこの精製顆粒ということで、お茶のように飲むだけでしたが、用法用量は体質に合わせるということで、医薬品の種類や量によって、また個人の体質の現在の状態によって微妙に変化させることに中医学の奥深さを感じさせられました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕