戒律を守るのは仏教の基本とされていて、五戒が示されることが多いようです。
・不殺生戒 生き物を故意に殺してはならない
・不偸盗戒 他人のものを盗んではいけない
・不邪淫戒 不道徳な性行為を行ってはならない
・不妄語戒 嘘をついてはいけない
・不飲酒戒 酒を飲んではいけない
凡人には厳しいと思われる戒律も、「故意に」と書かれていると故意でなければ問題なし、「不道徳な」と書かれていると普通の性行為は問題なしと解釈されることもあります。
五戒を示しておきながら僧侶が守っていないではないか、という疑問(批判)に対して、「五戒は在家信徒が守るべきこと」と切り返してきた仏教関係者もいました。仏教関連の書物に書かれていることではあっても、五戒を守ることは出家僧侶では当たり前のことなので、記していない書物を持ち出すのは、どうかと思います。
この五戒に、特別な日に出家者と同様の体験することを目的として、三つの戒律が加えられた八戒が行われることがあります。年に数回、精進日(先祖の供養などを行う日)に日の出から翌日の日の出まで課されるものです。
・不得過日中食戒 昼食以降は食事をしない
・不得歌舞作楽塗身香油戒 歌舞音曲を見たり聞いたりすること、身を飾るもの(装飾品、化粧・香水など)を使用しない
・不得坐高広大床戒 地面に敷いた臥具だけを用いて、贅沢な寝具や座具でくつろがない
八戒というと西遊記の猪八戒を思い起こす人がいるかと思いますが、本名は猪悟能といい、八戒を破ったことから、三蔵法師から戒めの意味で猪八戒と名づけられたと西遊記に書かれています。
この伝からすると、今の世は八戒だらけかもしれません。
仏教は堅苦しいものという印象を与えますが、親鸞聖人が開いた浄土真宗には戒律がないので、戒律を守れないことを悩む必要もなければ、戒律破りを言い訳する必要もないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕