「健康経営」という言葉は、企業や団体の健康づくりのキーワードとして、随分と知られるようになってきました。
健康経営は、企業が健康管理を福利厚生施策や個人任せにすることなく、健康施策を他の事業活動と同じように、戦略的な活動と捉えて、投資を行い、従業員の活力向上や労働生産性向上などの効果を期待して実践することを指しています。
経済産業省は健康経営について、企業理念に基づいて従業員への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上などの組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながることが期待されるとして推奨しています。
そして、健康経営の推進のために、健康経営優良法人認定制度を設けています。健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業などの法人を顕彰する制度です。
これによって健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、社会的に評価を助けることができる環境を整備することを目標としています。
健康経営は1990年にアメリカで臨床心理学者のロバート・H・ローゼン博士によって提唱された「健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る」との主張が基礎となっています。1992年に発行された著書『The Health Company』に書かれたことから、「ヘルシー・カンパニー」が健康経営の語源とされています。
「健康経営」は2006年に設立された特定非営利活動法人(NPO法人)健康経営研究会によって広められました。同研究会の岡田邦夫理事長(医学博士)は2003年から「健康経営」を執筆や講演のテーマとして使っていましたが、その一つの健康情報誌の取材で話を伺い、それが「健康流通」を考えるきっかけとなりました。
その内容については、次回(健康流通:概論2)紹介します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕