健康づくりの手法は、どれだけ科学的な根拠があり、実例があげられていても、自分自身の個人にとってよい結果が得られるのかということは、実際に試してみなければわからないことです。メディアを通じて伝えられる健康情報は、多くの人に共通することを重視していることから総論であって、一人ひとりに適したものでないのは当たり前のことです。
同じ方法を実施すれば同じような結果になる、というのは健康づくりに限らず、多くのことに共通している認識です。厚生労働省が示している健康づくりの手法も、総論としては正しいことではあっても、個人に当てはめたら正しいとは限らないことがあります。
健康づくりの基本中の基本とされる歩くことも、人によってはよくない結果になることもあり、歩数だけが示されて、それをクリアすれば健康に役立つというものではありません。正しい歩き方が示されて、それを続けることで健康効果が高まるということになるので、そもそも正しい歩き方、それも個人によって異なる正しい歩き方を示す必要があります。
身体の状態と機能、個々の条件に配慮しない個別対応は、個別のように見えても実は総論でしかなかったということにもなります。そのようなことにならないようにするには、専門分野だけではなく、それぞれの専門分野をつなぐための情報を周知していて、個々の要望に沿うアドバイスができる能力も重要となります。
これは情報を発信する側での考えであって、情報を活かす側の健康づくりに取り組む方々の選択できる能力も重要になります。
示された健康情報が正しいのか、自分に適したものなのか、適した情報であっても継続できることであるのかということを把握して、最良のものを選択して実践していることが重要となります。その能力である“健康リテラシー”を高めることが、自分のための個別対応を実現する方法であるということです。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕