やせ体質という言葉があって、他の人と同じ生活をしても太らない、やせやすいということを指しています。そのような体質の人は共通点があって、それはヤセ菌と呼ばれる腸内細菌が多いことです。
この真偽は置いておくとして、ヤセ菌は酪酸産生菌を指していて、大腸の中で水溶性食物繊維をエサにして酪酸を作り出しています。酪酸の中には短鎖脂肪酸が含まれていて、この短鎖脂肪酸が脂肪の吸収を抑えたり、脂肪のエネルギー代謝を活性化させる働きがあります。
この仕組みを知って、水溶性食物繊維が含まれる海藻、きのこ、果物などを多く摂ることによって、食べている量に比べると太らなくなったということは実際にあることです。
だから、ヤセ菌が多く存在していて、ヤセ菌が活性化したのだと考えがちですが、水溶性食物繊維は粘度が高く、余分な中性脂肪を吸着して吸収されにくくする働きがあります。また粘度の高さのために、食べたものがゆっくりと胃から小腸に運ばれるようになり、そのために血糖値が急上昇しにくくなります。
血糖値が急上昇すると膵臓からインスリンが多く分泌されますが、インスリンにはブドウ糖を細胞に取り込ませる働きと同時に、肝臓での脂肪合成を進める働きがあります。だから、水溶性食物繊維が多くなることで太りにくくなる効果があるわけです。
同じものを食べても太りにくいということが起こるのは肥満遺伝子も関係しています。糖質が脂肪に合成されるのを進める肥満遺伝子がある場合には、糖質の摂りすぎが太る大きな要因となります。
体脂肪が多く蓄積される肥満遺伝子もあり、この場合には脂肪が多く含まれるものを食べたことで脂肪細胞の中に中性脂肪が蓄積されやすい特徴があります。食べ物の内容が影響するので、何もヤセ菌や、やせ体質だけで結果が決まってくるわけではないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕