食生活チェックは臨床栄養の世界で始まったもので、疾病のリスクが高い人や生活習慣病の予防・改善を目指して開発され、更新が重ねられてきました。現在の食生活チェック表は日本臨床栄養学会の元理事長(医学博士)の監修によって完成させたものです。
適正な体重を保つための基本は、現在の食生活の状態を正しく把握することです。食生活の指導のもとになる食生活調査は、一般には1週間ほどの一定期間の食材の種類と分量を調査して、どれくらいの栄養素を摂取したのかを調べて、栄養素の充足率を導き出すために実施されています。その結果を受けて、不足している栄養素をプラスして、摂りすぎると弊害が出るものはマイナスするように指導されるのが通常となっています。
この方法はメニューと食材、分量、調理法を記録して提出するほうも大変で、この結果を受けて過不足を計算するほうも大変になります。不足している栄養成分が指摘されても、食品は栄養素として販売されているわけではなく、いろいろな栄養素が含まれている食品を選び、不足している分を補えるだけの分量を選んで、それが料理になったときに減る分も含めて食べる量を決める必要があります。
このような面倒なことを排除して、簡単にチェックして、簡単に指導できるようにしたのが食生活チェック表です。
主食は1日に食べたものをチェックして、そのほかの主菜、副菜などは1週間に食べたものをチェックするだけとなっています。チェック項目は食品の種類ごとに週に何回食べたかをチェックするだけで分量を書く必要はありません。
チェックが終わったら、面談や感想を書いてもらうなりしてからアドバイスに移ります。そのアドバイスは、1日もしくは1週間に食べるべき回数を示すことが基本で、なぜ必要なのかを説明して、理解をしてから変更するようにしてもらいます。
やってみた感想を述べてもらうと、アドバイスしようとしていることと、ほぼ同じ結果が返ってきます。つまり、チェックしているうちに、これは食べなければならない、もっと食べたほうがよい、減らさないといけないということに自分で気づくことができるように作られているからです。
この食生活チェック表は、食品の摂取回数を変えることによって分量を調整するだけなので、忙しい時間の中で調理をする方にも受け入れてもらいやすくなっています。負担をかけるようでは変更をしてもらうことも、続けることも難しくなります。
食事の傾向は、何か大きなイベント(生活環境の変化や疾病など)がなければ、変化することがないのが普通のことです。
スポーツ選手は一般の方に比べて平均寿命が短い傾向があることは以前から判明していて、その中では無理がかからない程度の有酸素運動の場合には、むしろ平均寿命は延びる傾向があるものの、全体的には短命となっています。
スポーツ選手だけでなく、身体に負荷がかかる仕事に従事している人(農業、漁業、林業や工場の従業員など)は、やはり短命の傾向があります。これらの職種は若い人が集まりにくい職種であるために、職場の高齢化が進んでいて、以前にも増して肉体労働化が進んでいます。それだけに、健康を維持するための食生活の指導は重要になります。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕