妊娠中に太っても、体脂肪は母乳に変化するので問題はないという考え方をする人がいるのですが、それが生活習慣病のリスクを高めるということは、なかなか通じないところがありました。
その一方で、出産後に太りたくないということから、妊娠中に食事制限をして胎児に影響を与えるような女性もいて、妊娠中の適切な体重管理は指導が難しいところがありました。
そのような方に伝えたい情報が国立成育医療研究センターから研究成果として発表されました。
国立成育医療研究センターの周産期・母性診療センターの研究グループは、母子健康手帳の情報を用いたコホート研究によって、妊娠中に過剰な体重増加があった女性は、適切な体重増加だった女性と比べて、将来に慢性疾患を発症するリスクが高いことを発表しています。
調査対象は国立成育医療研究センターに通院していた318人です。
過剰な体重増加というのは、妊娠前のBMI(体格指数)が18.5kg/㎡未満の場合は15kg以上、18.5kg/㎡以上の場合は13kg以上で、発症リスクは糖尿病で約1.4倍、高血圧で約1.5倍、肥満で約1.8倍となっていました。
具体的には、糖尿病では発症の割合は7.1%から10.0%に、高血圧では24.7%から34.2%に、肥満では12.4%から19.1%に高まっていました。脂質異常症についても調査されていて、32.9%から35.0%へと少し高まったものの、リスクが確認される程度ではありませんでした。
妊娠中の過剰な体重増加は妊娠合併症と呼ばれる妊娠糖尿病や妊娠高血圧などのリスクが高いことは以前から指摘されてきたことです。妊娠中の体重増加は肥満の要因であり、肥満は高血圧や糖尿病の要因となることから、体重増加には特に注意が必要であることがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕