妊娠中の適切な体重維持は、生活習慣病を予防するために必要だという研究成果について前回(健康情報3)紹介しましたが、まるで連携して発表したのではないかと思いたくなるような発表がありました。
発表したのは東北大学大学院医学系研究科の女性ヘルスケア医科学共同研究講座と周産期センター医学分野のグループで、東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート研究調査に参加している3万530名の成人女性が対象です。
分娩回数と高血圧の関連を調べた結果、閉経前では分娩回数と高血圧に関連がない一方で、閉経後では分娩回数が多い女性ほど高血圧のリスクが高いことが明らかにされました。
分娩回数が1回の女性と比較して、2回では1.058倍、3回では1.091倍、4回以上では1.125倍と高くなっていました。
また、高血圧の危険因子である肥満の割合も高い傾向がありました。
閉経後の分娩回数と高血圧の関連性については、現在のBMI(体格指数)で調整すると関連性は薄れたとのことです。これは分娩回数が多いほど高血圧のリスク因子である肥満が関与していて、高血圧を予防するには適切な体重維持が重要となることを示しています。
また、閉経前と閉経後の両方において妊娠高血圧症候群の既往がある女性では、高血圧のリスクが高いことがわかっています。このことから、分娩回数が多い女性や妊娠高血圧症候群の既往歴がある女性には、高血圧の予防対策が必要となるということです。
妊娠高血圧症候群は、何らかの原因によって妊娠時に高血圧となるもので、高血圧に加えて母体の腎臓障害などが発生する全身性の症候群を指しています。
世界のデータを見ると25歳以上の成人の約30%が高血圧ですが、日本の60歳以上の女性の約60%が高血圧となっています。それだけに、高血圧の要因となることを明らかにして、それを事前に防ぐことが重要であることを示しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕