糖尿病は血糖値が大きく上昇することによって血管にダメージを与え、それが合併症の網膜症、腎症、神経障害を引き起こすことから“血管の疾患”と考えられています。全身の血管に影響を与えることから全身病とも言われます。
糖尿病が同じく全身に与える影響としては、肝臓があげられます。肝臓の機能が低下することによって全身の機能を低下させるということですが、一つには肝臓は数多くの肝細胞に毛細血管が張り巡らされていて、毛細血管がダメージを受けることによって血流が低下して、それが一つずつの肝細胞の働きを悪くすることが考えられています。
肝細胞は2500億個とされ、全身で使われるエネルギーのうち20%ほどを消費しています。肝臓で使われる酸素の量は25%を超えるとの研究もあって、血流が低下すると酸素不足になって肝細胞のエネルギー産生も低下することになります。
肝臓は大きく分けると11種類の働きをしていますが、肝臓では余分なエネルギー源を使って脂肪が合成されています。その脂肪は中性脂肪として脂肪細胞に蓄積されて、重要なエネルギー源となっています。
脂肪合成を進めるのは膵臓から分泌されるホルモンのインスリンですが、糖尿病はインスリンの分泌が低下することによって発症する疾患です。そのため、糖尿病になると脂肪合成が低下していきます。
糖尿病というと太っている人がなりやすい疾患というイメージがありますが、進行すると脂肪が多く作られなくなって、やせてくるようになります。また、肝臓では食事で摂ったアミノ酸を身体に必要なタンパク質に合成する臓器であるので、筋肉の量が減っていくことも、やせていく要因となっています。
こういったことから、糖尿病は肝臓の疾患でもあると言われているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)