慢性炎症を防ぐ食べ物はあるか

慢性炎症はNHKの健康情報番組で取り上げられてから、急に一般の話題となる機会が増えたことがあり、他局のディレクターからの問い合わせが増えています。日本メディカルダイエット支援機構は生活習慣病をはじめとした疾病と、それに対応する有効成分の情報を提供していますが、「慢性炎症を防ぐためには何を食べればよいのか」という短絡的な結果を求めるような問い合わせ内容です。
慢性炎症は、長い期間をかけて進んでいく炎症で、病原菌や傷などによって起こる急性炎症のように急激な症状は起こらないものの、気づかないうちにジワジワと広がっていく特徴があります。これが注目されるようになったのは慢性炎症ががんや心筋梗塞を引き起こして寿命に影響していることがわかってきたからで、気づきにくいものを気づくための方法が番組で紹介されていました。
その方法というのは血液検査の項目の一つとなっているCRPです。これはC-Reactive Proteinの略で、肝臓の中にあるタンパク質です。肝臓の中にある成分というと、血液検査によって酵素が多く検出されると、これは幹細胞が破壊された結果で、破壊を起こすことが発生していることを知ることができます。それと同じようなもので、CRPが多く検出されるということは、炎症の処理をしたために肝臓のタンパク質が多く使われた結果とされます。CRPの基準は0.3mg/dl以下が正常値で、これを越えると慢性炎症が起こっている証拠となります。
CRPは肥満によって上昇することは以前から知られており、そのためにCRPを下げること、つまり慢性炎症を抑えるためには内臓脂肪を減らすこと、そのためには食事制限と運動習慣が重要になるということで、医科学的なダイエット、私たちが普及しているメディカルダイエットが有効になることがわかっています。
これに加えて、過度の飲酒、喫煙、高血糖が大きな要因になっていますが、ストレスと加齢も強く影響します。以前から言われてきた健康的な生活を心がけること、年齢を重ねると危険因子の影響が大きくなってくるので、「年をとるほど注意しましょう」という話になっています。
当たり前のことを当たり前のように続けるのがよいということであっても、テレビ番組となると、これでは面白くないので、“これを食べれば大丈夫”というテーマを求めるのも、また当然のことです。
肥満の解消にはエネルギー代謝を進める三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が有効になり、有害物質による影響を抑えるためには抗酸化成分が有効です。
高血糖になるのは食べすぎか運動不足、インスリンの分泌量の低下かインスリンの効きがよくない状態であるわけですが、血糖値を正常範囲に抑えておくためには、血液中のブドウ糖(血糖)をエネルギーとして消費するために使われるα‐リポ酸が必要になります。
三大ヒトケミカルには活性酸素の発生量を減らし、発生した活性酸素を除去する抗酸化作用があります。一般の抗酸化成分は発生した活性酸素を除去する働きが中心ですが、三大ヒトケミカルはエネルギー代謝を促進することで活性酸素が発生するのを減らして、結果として活性酸素の健康被害を減らすという基本的な対策となっています。
三大ヒトケミカルは食品にも含まれているものの、もともと体内で合成される成分であるために吸収率が低くなっています。しかし、医薬品とサプリメントの成分は吸収されやすいので、サプリメントとして摂ることがすすめられます。α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を、ご覧ください。