太るのもメディカルダイエット

ダイエット(diet)に“やせる”とか“やせるために食べない”というような意味はありません。元々の意味は“作成、戦略、方針”などで、それが転じて正しい生活をすることがダイエットという言葉になり、さらに正しい食生活、食事療法がダイエットとなりました。欧米人が使うダイエットのほとんどの意味は食事による体重コントロールです。つまり、太っていてやせなければならない人にとっては食事のコントロールによって、または食事と運動を組み合わせて健康的にやせることがダイエットとなります。
ということは、やせるために無理をして身体を傷めるようなことになるのはダイエットとは言えません。さらに言うなら、今よりも太ったほうがよい人が食べる量を増やして、体重(筋肉と体脂肪)を増やすこともダイエットとなります。通常は、この説明だけでも納得してくれる人が多いのですが、これがテレビのディレクターとなると違った反応をするもので、「健康的に太る方法を高齢者に教えたい」と言ってきました。
確かに、高齢者は無酸素運動の筋肉運動をしても筋肉がつきにくく、脂肪を燃焼させる有酸素運動をしても体脂肪がつきにくいという特徴があります。一般的な運動では対応しにくいことですが、これにはメディカルダイエットの手法が役立ちます。
ただ太ればよいのだったら、食べて、身体を動かさないようにすれば体脂肪の蓄積量が増えます。高齢者の場合には代謝が低下しているので、体脂肪の量を増やしたら、なかなかやせずにメタボリックシンドロームにもなりかねません。筋肉の量を増やしながら体脂肪を増やしていくには、運動による筋肉増強と同時に脂肪の増加も必要になります。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長がメディカルダイエットの理論を実際に証明したのは、格闘系スポーツの国際チームの体重コントロールに加わったときで、そのときのオファーは「同じ食事量と運動量で、片方は体重を減らし、片方は体重を増やす」というものでした。普通に考えれば、体重を減らすためには食事量を減らすか運動量を増やすか、ということになります。その逆に体重を増やすためには食事量を増やすか運動量を減らすかということになるわけですが、その人の食事量も運動量も変えずに体重を減らしたり増やしたりを自在に行うには、食事と運動のタイミングによる生理学的な身体の反応を活用するしかありません。
これは最も関心があることでしょうが、今回のテーマとは違うので、これについてはダイエット最大のSNSサイトの「ダイエットクラブ」の“ラボ”を参照してください。これは日本メディカルダイエット支援機構が提供しているコンテンツで、メディカルダイエットの資格認定の講習テキストの内容を若い女性向きにアレンジしたものです。
具体的な健康的な太り方については次回以降に詳しく説明していくことにして、今回は食事と運動の組み合わせによる体重の減らし方を一つ紹介します。
夕方の空腹時に筋肉運動をすると、血液中のブドウ糖が不足していることから筋肉の中に蓄積されてるグリコーゲンが分解されて、血液中のブドウ糖が補われます。その後に食事をすると肝臓で合成されるグリコーゲンが増えて、その分だけ血液中のブドウ糖が減って血糖値が下がります。血糖値が上昇すると膵臓から多くのインスリンが分泌されるわけですが、インスリンには脂肪の合成を進める働きもあるので、太る要因になります。それとは逆のことで、インスリンが減って、脂肪の合成量が減ることから体脂肪を減らすことができるようになるというわけです。