生活習慣病の改善には、食生活の改善のための行動変容が大切になります。中でも食事の見直しが重要となる糖尿病と脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)では、全体の摂取エネルギー量が関係することから、糖質や脂質の摂取制限が指導されます。
食の行動変容は難しく、医療機関の管理栄養士が一生懸命に実践できるように、継続できるように指導をしても、言うことを聞いてくれない患者も少なくありません。その理由の一つは、糖尿病や脂質異常症は初期段階では自覚症状がないことから真剣に向かい合ってくれないことがあります。
自覚症状が出るのは、糖尿病では合併症(網膜症、腎症、神経障害など)、脂質異常症では動脈硬化症が進んで心疾患(心筋梗塞、狭心症など)や脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)が起こったときなので、手遅れになりかねない状況です。
もう一つの理由が健康食品の存在で、血糖値や中性脂肪値を降下させる機能がある特定保健用食品や機能性表示食品を使っていることから、安心して食事量を減らせないまま食べ続けている人が多く存在しています。
そして、血糖値や中性脂肪値が下がらない状態でも検査をしていないことから悪化する人もいます。そのようなことから、特定保健用食品にも機能性表示食品にも反対する管理栄養士も少なくありませんでした。
血液検査によって糖尿病であることが指摘されても、40%ほどが医療機関で治療をしていないという実態があるのも、そういった理由が関係しています。
アメリカでは健康食品と医薬品が同じような効果がある場合には、健康食品を摂り続けて、医薬品を減らすという指導が医師によって行われることがあるものの、日本では血糖値や血圧などが下がりすぎることを懸念して健康食品を摂らないように指導するのが一般的な対応です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕