脳の働きがよくないと、「血の巡りが悪い」などと言われることがあります。脳のエネルギー源はブドウ糖だけで、血流が正常であってもブドウ糖が不足すると「頭の回りが悪くなる」ということが起こるのは事実です。
ブドウ糖を充分に摂っていれば脳の回りが悪くなることはないのかというと、むしろブドウ糖が多く含まれている糖質(ご飯、パン、麺類など)の摂取量が多い人で、太っているほど脳の働きがよくないということが起こりやすくなります。
余計にエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を摂ると、肝臓で脂肪酸に合成され、複数の脂肪酸がつながって中性脂肪となります。この余分な中性脂肪は脂肪細胞の中に蓄積されていって、いわゆる太るという状態になります。
脂肪細胞の中の中性脂肪は固定されたものではなくて、血管を通って出入りしています。血液中の脂肪が余分になれば脂肪細胞に入り、不足すれば脂肪細胞から出ていきます。そのために脂肪細胞の数が多くなれば、そこに通じる血管も多くなり、血管を通って脂肪細胞に運ばれる血液量も多くなります。
肥満と呼ばれるほどに太っていると、本来なら脳に回るはずだった血液が脂肪細胞に回ることにもなります。脳は1日のエネルギー量の20%以上を使っているので、それだけ多くの血液が必要で、血液量が不足すると脳に運ばれる酸素も減っていきます。
脳のエネルギーはブドウ糖と酸素によって作り出されているので、酸素不足になっても頭の回りが悪くなってしまうのです。だから、太らないようにするべきだし、太っている人は脂肪細胞の中の中性脂肪(体脂肪)を減らして、できるだけ正常値の範囲に近づけることが求められるということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)