夕食前に甘いものを食べると太ることができる

太りたくない人にとっては、太る方法を教えるというのは違和感がある情報かもしれませんが、太るメカニズムを知っていれば、それを避けることで無理なく、健康的にダイエットすることもできるようになります。ダイエットはやせることだけではなく、人によっては太ることもダイエットだということを繰り返し紹介していますが、医科学の理論に基づいて個人に合った体脂肪量をコントロールするのがメディカルダイエットであり、その普及を私たちは行っています。
一番コントロールしやすいのは夕食前の時間帯で、夕食の30分ほど前に空腹を感じたからといって砂糖が含まれた甘いものを食べると、血糖値が上昇したまま食事をすることになるため、太りやすくなります。砂糖はブドウ糖と果糖が1対1の割合で含まれていますが、血糖は血液中のブドウ糖のことで、身体はブドウ糖の量に反応して上昇していきます。血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは全身の細胞にブドウ糖を取り込む働きをするホルモンで、細胞はインスリンを用いてブドウ糖を取り込み、細胞のエネルギー源としています。細胞に入ったブドウ糖を細胞内のミトコンドリアに取り込んでエネルギーとするために必要な成分がα‐リポ酸です。
ブドウ糖が含まれた甘いもの、つまり砂糖が使われた菓子類などを食べると、血糖値が上昇してインスリンが多く分泌されます。菓子類ではインスリンが多く分泌された割には通常の食事に比べるとブドウ糖の量が少ないために、血液中にはインスリンが濃い状態となっています。インスリンには細胞へのブドウ糖の取り込みのほかに、肝臓での脂肪の合成を進める働きもあります。
インスリンが濃い状態で夕食を食べると、そのインスリンによってブドウ糖の取り込みが行われるわけですが、食事によって再び分泌されたインスリンによって、脂肪の合成が大きく進むことになります。これが夕食前に甘いものを食べると太る理由となっています。
では、なかなか太れないために効果的に太りたいと思っている人は、ただ甘いものを食べてから食事をすればよいのかというと、それでは余計な体脂肪が増えることになります。健康的に太りたいと願っている人は筋肉を減らさずに太りたい、できれば筋肉も体脂肪も増やしたいと考えています。それに対応するためには夕食前に軽くでもよいので筋肉運動をすることです。空腹時に筋肉運動をすると筋肉の中に蓄積されているグリコーゲンがブドウ糖に分解されて、これが運動のためのエネルギーとして使われます。そのあとに食事をすると肝臓でグリコーゲンが多く合成されるために、血液中のブドウ糖の量が減って、血糖値の上昇が抑えられます。このことによって筋肉が増えるようになり、体脂肪を減らせるようになります。これは少しずつの変化でしかないかもしれませんが、毎日やり続けることで望むような状態に近づけていくことができるようになります。