これまでに世界各国から報告されている複数の大規模臨床試験のメタ解析などから、鶏卵などの食物アレルギーの原因となりやすい食品であっても、乳児期早期に少量でも摂取を開始しておくことで、食物アレルギーの発症の可能性が低くなることが明らかとなっています。
近年、国や地域によっては、食物アレルギーの発症予防を狙い、原因となりやすい食物を含んだ乳児用製品が販売されていますが、実際にどれくらいの量から開始すれば安全なのか、具体的なデータは不足しています。
そこで、どれくらいであれば安全に摂取できるのかという具体的な量と、安全性を評価するための研究が、国立成育医療研究センターのアレルギーセンターの研究グループによって解析が行われました。
研究では、鶏卵(固ゆで卵白)・牛乳・小麦(うどん)のそれぞれ食物経口負荷試験で、食物アレルギーと診断された乳児を含む子どもを対象に解析し、アレルギー症状の誘発用量(全体の5%の人に症状が現れる誘発用量)を導き出しました。
対象の子どもは、12か月以下の乳児と2〜15歳の子どもで、鶏卵897人、牛乳646人、小麦343人(このうち12か月以下の乳児は、鶏卵197人、牛乳109人、小麦91人)でした。
その結果、乳児における鶏卵の誘発用量は28.6mg(ゆで卵白に換算すると約0.25g)、牛乳の誘発用量は6.1mg(牛乳に換算すると約0.18ml)、小麦の誘発用量は27.7mg(ゆでうどんに換算すると約1.1g)でした。
これまで誘発用量を含めたアレルギー症状の誘発リスクの推定は、小児、成人、年齢不詳を含む不均一な集団における研究結果からの報告のみで、年代で分けて比較検討した研究ではなく、今回の研究は乳児期における症状誘発リスクに特化した初めての報告となります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕