健康情報46 舌の筋力とサルコペニアの関連

サルコペニアは、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力の低下を特徴とする症候群で、その進行によって身体機能の低下、QOLの低下、社会活動の妨げに関わるとされています。サルコペニアに関連する因子として、加齢、低栄養、抑うつ、全身疾患があげられます。

近年、口腔とサルコペニアとの関連の報告が増えていますが、多くの先行研究において、サルコペニアを一部の診断項目で評価したり、口腔関連の調査項目が少ないなど、調査結果に一貫性がありませんでした。

岡山大学大学院医歯学総合研究科と岡山大学学術研究院医歯薬学域予防歯科学分野の研究グループは、自立高齢者において、舌の筋力が強いと栄養状態が良好であり、サルコペニアの者が少ないことを明らかにしました。

この横断調査では、岡山大学病院歯科・予防歯科部門を受診した60歳以上の患者を対象に、年齢、性別、サルコペニア、口腔状態、栄養状態、精神・心理状態、全身状態を調査されました。

これらのデータを元に分析を行ったところ、年齢の影響は受けるものの、舌の筋力が低下していると栄養状態が不良であり、サルコペニアの者が多いことがわかりました。

この研究は、あくまで横断調査ですが、舌の筋力が衰えていると、サルコペニアのリスクが高まるリスクが高まる可能性があります。舌の筋力を維持・改善できる適切な介入を行うことにより、サルコペニアを予防できる可能性があり、さらなる研究が望まれます。

将来、適切な介入方法が見つければ、身体機能の低下などを防ぎ、健康寿命の延伸に寄与する可能性があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕